大会長挨拶
第23回日本アクセス研究会学術集会・総会
大会長 吉田 一成
北里大学医学部新世紀医療開発センター 臓器移植学 教授
北里大学病院 泌尿器科
第23回日本アクセス研究会学術集会・総会を2019年9月28日(土)、29日(日)の2日間、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜 アネックスホールで開催させていただくことになりました。
今回のテーマは “Happy Access!” です。
日本の透析人口は人口比で世界第2位の多さです。腎移植、特に献腎移植が非常に少ない現状では腎機能を失った方々の多くが腎代替療法として透析を受けており、そのためには透析アクセスが必須です。質の良い透析のためには質の高い透析アクセスが何よりも大切であることは論を待ちません。透析の質と同様、透析アクセスの質も日本は世界に誇れるものがあると思います。
透析アクセスとしては血液透析のためのバスキュラーアクセス(VA)、そして腹膜透析のためのペリトネアルアクセス(PA)がありますが、その作製、維持、使用方法などに細心の注意を払う必要があります。また、最近は腎代替療法の選択を行う時に患者へ充分な説明を行い、医療側とともに治療法の選択を行う、「治療選択外来におけるShared Decision Making(SDM)」が多く行われるようになってきており、医療側は患者の倫理面への配慮も忘れてはなりません。
腎移植も血管を扱うことではVAと相通ずるものが多いですし、腎移植患者の多くは透析を経ており、その場合の透析アクセスの管理、さらに移植腎機能低下による透析への再導入における透析アクセスの方針決定にもSDMの考えが重要になってきています。透析から腎移植そして腎移植から透析に至ることを考えれば腎移植を考慮した透析アクセスというコンセプトも重要だと考えています。
透析アクセスのさらなる発展とより質の高い透析アクセスを作製するための材料の開発、手術方法の改良も我々が解決していかなければならない問題は少なくありません。
このような問題を解決するための活発な討論を行って、より質の高い「Happy Access!」につながる大会となるように期待しております。