日本高齢者腎不全研究会
代表世話人 岡田一義
(社会医療法人川島会 川島病院)
日本高齢者腎不全研究会の目的は、高齢者を共通語として、厚生労働省からのメッセージを受けながら、慢性腎臓病(CKD)保存期から透析療法までを医療・看護・介護の面から、高齢者中心の医療およびケアを確立することにあります。
保存期CKD対策として、厚生労働省は、腎疾患重症化予防のための戦略研究を開始し、かかりつけ医と腎臓専門医の連携を促進させることにより、透析導入者数を減少させることを目標としています。腎臓専門医がかかりつけ医と連携し、高齢者が理解しやすい教育を提供することが重要です。
透析療法の導入が近づいて来た時には、腎臓専門医は、高齢者の気持ちを理解するだけではなく、家族と連携し、性格・家庭環境なども十分考慮して、不安を取り除いてあげることが重要です。透析療法導入時には、病態・精神状態・日常生活動作・家族および介護保険などによる支援体制などを総合的に考えた上で、高齢者および家族へ適切なinformedを行い、consentを得た上で、高齢者のQOLを重視した透析療法を提供することが医療者に求められています。
透析療法の維持期には、高齢者が生活の質(QOL)が向上した生活を過ごせるように、高齢者・家族と透析スタッフ(医師・看護師・臨床工学技士など)と介護士・福祉担当者が連携し、社会資源を有効に利用するとともに、生命の質(QOL)が向上する終末期についても考えることも重要です。
CKDを合併した高齢者に、QOLがより向上した医療およびケアを提供できるように活発に議論する研究会になることを期待します。