第12回日本透析クリアランスギャップ研究会学術集会 大会長
- 村上 康一
- 医療法人社団 誠仁会 みはま成田クリニック
この度、第12回日本透析クリアランスギャップ研究会学術集会を、平成29年8月26-27日に幕張メッセ国際会議場(千葉市)において開催させて頂くこととなりました。
クリアランスギャップ研究会は2006年に第1回学術集会が開催されて以来、次なる10年を歩み始めたところです。血液透析患者の治療の根幹をなすのは透析の質と量にあると考えております。必要十分な透析量を確保できるなら合併症の回避はさることながら、食事制限もほぼ必要なくなり生活の質は格段によくなります。透析量を大きくするために長時間透析を行うことは生命予後改善の観点からも多くのエビデンスが蓄積してきております。しかし本邦のセントラル透析システムを主とした集団透析では全患者を長時間透析にすることはたやすくありません。そこで限られた透析時間でいかに充分な透析量を提供するかが課題になるわけです。しかし単純にベッドサイドコンソールの設定血液流量(Qb)を上げれば済むものではありません。個々のバスキュラーアクセス(VA)の状態、Qbと穿刺針とのマッチング、体液量の違いなどなど多くの要因が複雑に影響し何ml/min設定Qbを上げれば、どの程度KT/Vが上がるのかは明確ではありません。
クリアランスギャップは透析前後のBUN採血で、脱血不良や再循環などVA不全を早期に発見できる非侵襲的な血液透析モニタリング方法として認知されております。しかしVAには再循環や脱血不良などの異常がないにもかかわらず、クリアランスギャップ値がマイナス値、あるいは10%以上のプラス値を示すことがあります。つまり透析効率の変化はとらえることができてもその要因として何がどの程度影響しているのかを明確に説明することは困難なのが現状です。
透析医療の現場に数あるモニタリング機器(方法)の特徴を正確に理解し、理想の透析量と実際のギャップを把握するとともにその原因がどこにあるのかを探求したいと考えます。透析手段においてもオンラインHDFをはじめ多くの治療法が存在しますが患者個々の状態に合わせ適切に選択していくことが大切です。
今大会のテーマは、―効率的な透析方法とその評価法―“透析量アップへ向けた透析効率向上のためにできること”とさせていただきました。透析患者のために最良と思える透析手段とその評価方法を通じて透析療法に携わる多職種の皆様と研究会当日は活発な議論を行いたいと思います。
またVA形態・機能評価、超音波ガイド下穿刺において欠くことのできないツールとなっている超音波機器の実践的な利用法を紹介することを目的にライブセッションも企画したいと考えております。 会場である幕張メッセ国際会議場は、東京ディズニーリゾートにも近く、ウインドサーフィンのメッカであるとともに、最近はレッドブル・エアレースの会場にもなっているアクセスが良好な場所です。
多くの皆様の演題応募と研究会当日のご参加を心よりお待ちしております。